フレームサイズ選びに苦労した話
- FENIXからパーツを移植するにあたり、悩んだことが一つあります。同じライディングポジションとするために、ステム長などをどう決めればよいか、ということです。
- ここでは、ある程度まで自分のポジションを作り上げている方が、次のフレームに乗り換える場合を想定して書いています。
培ったポジションは、あなただけのプライスレスな資産。測れるうちに記録しておいた方が良い。
- これまで乗っていたフレームに合わせて、サドル高さ・前後位置、ステム長・ハンドル高さ等を微調整してきたポジションというのは、残念ながらパーツをばらした瞬間に失われてしまいます。時間をかけて自分自身が微調整しながら培ってきたポジション数値は、実は貴方だけのプライスレスな資産なのですから、簡便にでも記録しておいた方が良いです。(例えば、競輪選手では、あらゆるポジション合わせをミリ単位で調整しながら培ってきたもので、メカニックの方であっても他人が触るとフィーリングが変わってしまうくらいシビアなものだそうです。)
- 実際、フレームが変わればフィーリングが変わり、それに伴って微妙にポジション変更を行うことになるかと思います。
- 元のバイクからポジション数値を測定しておけば、次のフレームに組み込む際にポジション合わせに要する時間や手間を削減できます。また、今手元にあるステム長さが次のフレームで適切かどうか、あらかじめ判断できていれば、余計な出費も節約できます。
- ポジション合わせに時間を要するよりも、楽しくバイクに乗る貴重な時間を有効活用できます。
- 自分自身が培ったポジション数値をエビデンス(証拠)として検証してみて、フレームサイズの選択を間違えないように注意すると良いですね。
どこを計測しておくべきか?
私は、少なくとも以下を計測しておきました。
- (1)クランク軸の中心 ~ サドル上面までの高さ:640mm
- (2)サドルの中心 ~ ステムのハンドル軸の中心
- (3)フロントアクスルの中心 ~ ステムのハンドル軸の中心
例
- 写真のバイクはトップチューブが水平になっている90年頃の典型的なホリゾンタルフレームです。フレームサイズは520mmです。身長165cmでギリギリ乗れていました。うち緑の部分が調整可能な範囲です。
- (1)について計算してみると、640-520=120mmが緑色の長さ(ほぼ、シートポストが出ている長さ)になります。ここがある程度は長く出ている方が格好良いとされていますが、身長に対して大きめフレームなため、あまり出ていません。また、信号待ちなどで両足を付いた際に、股間がトップチューブにギリギリあたりそうな感じがします。この高さはスタックオーバーハイトといいます。現在では、やや後ろ下がりになっているスローピング形状が多く、股間をぶつける危険は低くなっていると思います。
- さらに、もし水平器と60cm程度の棒をお持ちなら、サドルとハンドル落差も計測しておくと良いです。(ハンドル上にレゴブロックなどを置き、サドルと並行になったところで、ブロックの高さを測る。)
購入候補のフレームサイズとポジションについてあらかじめ試算
- フレームサイズの候補として、シートチューブ長460mm~520mmが許容範囲と分かっているので、その中から自分に合うサイズがどれか見極めていきます。
- そのために、購入候補のフレームのジオメトリを詳しく調べてみましょう。
- 先に計測した(1)~(3)の数値と見比べてみます。
- ちなみに、カタログやジオメトリ表に書かれているモデル毎のサイズ表記(M,S,XSなど)には、何かの基準である訳でないため、あまり参考にはなりません。特に小さいフレームサイズを選ぼうとしている方にとっては要注意です。
- XSサイズとSサイズで、フロントセンター等の数値が逆転してしまっているモデルもある。
- そのため、小さいフレームサイズでは、迷ったら小さめを選ぶ方が無難という一般論が当てはまらない。
- まっとうなItalia車であるDOGMA K8-Sの場合でも、REACHやフロントセンターの数値がサイズ間で均等には変化していない。
*(1)からは、シートポストの出代が、どの程度なのか予想することができます。
640mm - 465mm = 175mm ※シートレールとサドル座面の距離を含みます
(2)からは、もし現在のポジションに不満がないなら、カタログのジオメトリ表をみて、REACHの数値の差を見比べてください。もし差の数値が増えるようならば、ステム長には+10mmのものを選ぶべきかどうか考慮することができます。
(3)からは、ハンドルの高さの位置を読み取る目安になります。ジオメトリ表のヘッドチューブ長の数値から、差を見比べてください。ヘッドチューブ長は、フレームによってかなり差があるので、そもそも目的に似合ったポジション合わせが無理無くできそうか、また、コラムスペーサの枚数がどの程度になりそうなのか判断しましょう。(中古フレームを検討している場合で、コラムカットされてしまっている場合、自分のポジションに合わせられるかどうか分かれ道になる場合があります。もし前オーナーに身長や使っていたステム長を聞けそうなら、聞いてみる方が良いでしょう。自分に置き換えて考える際にとても参考になります。)
さらにDOGMA K8-Sの2017年モデルの場合は、シートポスト上部が弓形になっており、その分は調整可能な長さから差し引いて考えなければなりません。REACHとSTACKも考慮した結果、今回は465Sがジャストサイズと判断しました。(こうしたことを、フレーム購入前に見極めておかないといけません。なかなか大変ですね。)
- 実際には、さらにLOOK 785 Huez RS(S), RIDLEY HELIUM X(XS)新車も候補でしたので、同じように比較していました。
実際にポジション調整してみた結果
465Sサイズで大正解でした。
- シートポスト:調整可能な下限から僅か3cm上でした。
- ステム長:90mm→100mmでピッタリでした。
以前のフレームとの比較
リアセンター長:42.0 ※一般的には40.5~41.0位のモデルが多い。FENIX XXSサイズでは40.5 ※k8-sは長め
ヘッドチューブ長:12.0 ※FENIX XXSサイズでは11.0 ※私の場合には、短かすぎた。
フォークオフセット:47 ※FENIX XXSサイズでは43 ※k8-sは長め
フロントセンター:58.1 ※FENIX XXSサイズでは58.0 ※ここには差がない