使い終わったSPRINTER 25C チューブラーの状態をチェック
使い終わったSPRINTER 25C チューブラーを分解
使用状況
リアタイヤとして約1年半の間使用したSPRINTER 25C チューブラーを別タイヤに交換したので、どんな状態だったか分解して確認してみました。 使用終了時点では、トレッド面がほぼ平らな状態にまで摩耗しており、このタイヤのおいしい時期は過ぎていたと思われます。しかし、使おうと思えばまだ使えそうな感じがしていました。 シーラントを入れていましたが、ときおりバルブ部分が詰まっていたり、バルブを緩めると「水分」が噴き出してきたことがありました。 さらにサイドウォールに切り傷がありました。 自分自身の勉強のために、実際に分解してみて、各箇所がどのような状態になっているのか観察したかったので、実際に行ってみました。
チューブラータイヤのカット方法
以前にもチューブラーを分解したことがあり、今回も100均一のキッチンハサミでチョキチョキすればカットすることができました。 バルブ付近でカットした断面は、ズバリ以下の状態の通りです。断面方向にカットしただけでなく、トレッド面を奥行き方向にもカットしてあります。 向かって左側がトレッド側(地面に接する面)、右側がリム側です。トレッド側が厚くなっていることが分かります。中央はブチルチューブですが、ハサミでカットした際に潰れて、そのままシーラントの粘りで張り付いています。
トレッド面
SPRINTERには、SafetySystem ブレーカー「ケブラーで補強された高強度ナイロン生地」の耐パンク層が織り込まれています。 トレッド面がフラット近くになる程度には摩耗していたとはいえ、耐パンク層までには、まだ1mm程度はトレッドゴムの厚みが残っていました。 やはり、コスト重視で練習用タイヤと割り切って最後まで使おうと思えば、もうしばらくは使えたようです。
サイドウォール部分
トレッド面からサイドウォール部分にかけては、1mm~0.5mm程度まで次第に薄くなっていきます。 サイドウォールの切り傷は、いつかバーストを招きそうで心配でしたが、実際はどうだったのでしょうか。
耐パンク層の裏側は綺麗なままでした。
サイドウォールを良く観察すると、切り傷は耐パンク層の手間で止まっていました。
チューブラーにシーラントを入れる目的
チューブラーにもシーラントをいれることで、パンクのリスクを軽減することができます。(リスクコントロールとしての回避策にはなりません。) また、エア漏れが減少し、数日経っても空気圧の減少が少なくなり、運用管理が楽になります。
ただし、現実を踏まえると、深い傷を負った場合に、どこまでシーラントで対応できるかについては、結局のところ運次第と思います。浅いパンク程度ならば、その場から自宅に帰り着くまでの延命にはなるかもしれません。運悪く、より深いパンク傷を負った場合には、シーラントでは塞がらない場合もあります。中程度であった場合でも、チューブラータイヤは6気圧以上の高圧で使用するものであるため、いったんエア漏れが塞がったように見えても、空気圧を上げると、再度漏れてきてしまった現場を目の当たりにしたこともあります。(タイヤ内のシーラントが、ひたすらダダ洩れ状態になってしまうだけ。) また、シーラントを入れない方がタイヤ全体が軽量であることは間違いありません。
そもそも軽量とはいえないSprinter25Cにシーラント補充する意義が見いだせなくなり、別途パンク修理剤とスペアタイヤを持ち運ぶ運用に立ち返りました。(どうせ同じコースばかり巡っている。最悪の場合でも、家族に迎えに来てもらうか、修理ピックアップをお願いできるサイクル保険にも加入している。)
チューブラーにシーラントを入れる効果をどう考えるか?
以下のプロチームによる評価によれば、以下のとおり。
- チューブラータイヤが使用可能な期間中に、たった1回のパンクで、そのタイヤが廃棄になってしまうリスクは軽減できる。(状況次第・運次第だが。)
- シーラントを入れても、転がり抵抗の増加は無視できる程度で心配しなくても良い。
- シーラントによる重量の増加は避けられない。チューブラーのチューブは交換できず、乾燥分を差し引いたとしても、補充する度に重量は増加していく。
シーラントの状態
シーラントには、Stans NoTubesを入れていましたが、装着時に入れたきり、追加では補充しないままで運用していたものです。シーラント運用では、本来は4か月~6か月程度での追加補充が推奨されているようです。 それでも、たまにバルブがシーラントで詰まってしまう症状は、最後まで発生していました。
バルブ付け根付近でチューブを切り裂いた様子です。シーラントはゴム化して張り付いており、指でこすった程度では剝がれません。チューブ内に水分が残っているだけで、これでは、実際にパンクが発生しても、とても塞がるとは思えません。やはり、定期的にシーラント補充は必要なようです。
バルブ詰まりは何故起こっていたのか?
タイヤ自体のバルブの内径は、爪楊枝が十分に通り抜ける程度の太さがありますが、カーボンディープリムに装着するために使用していた延長バルブ(シュワルベ)の側の内径はとても細いです。この部分にシーラントが次第に詰まってゆき、ついには塞がってしまっていたようです。ひどいときには、仏式バルブを緩めて押しても、全ったくエアが出てこない症状が発生していたこともありました。(その時は、バルブコアを外してしまい、文房具のゼムクリップを伸ばしたものを、延長バルブ部分に差し込んで、無理やりに詰まったシーラントを除去していました。)
チューブラータイヤの将来がやや不安
交換後もSprinterチューブラータイヤを引き続き愛用しています。 チューブレスタイヤが普及し、チューブラータイヤは、年々入手価格が上っているように思います。 このように価格面性能面のバランスの良いタイヤが長く存続していただけることを願うばかりです。
Bora ONE 35 TUを導入しました(初インプレ)
- ホイールについて、自分なりに研究した結果、ついにホイール導入(中古)しました。
- 今回選んだのはBora ONE 35 TUです。非AC3なので2017頃のモデルです。最新のBORA WTOにしなかったのは、単にお小遣いが足りなかったためです。
- このホイール、スペック自体は、BlackEdition38(2018年モデル)とも似通っており、基本的な特性は近いのではないか、と予想していました。もちろん高剛性リム・USBハブ・G3組みスポークといった各パーツのクオリティを踏まえれば、明らかにBORAの方が上質であり、見るからに所有欲を満たしてくれます。
- また、少しでも条件を揃えようと、これまで2シーズン使ってきたBlackEdition38は、前後ともベアリング交換済です。(リアホイールは中華セラミックベアリング)
それでは、Bora ONE 35 初ライドの結果レポートです。
- リムハイト BlackEdition 38mm と Bora ONE 35mm。どちらもタイヤはContinental SPRINTER 25Cで同じ。そのためホイールそのものの違いが分かりやすかったはず。
- 前後チューブラー8Barにしてみたけれど、路面に跳ね返されすぎてスピードが殺され気味。そして衝撃で手首が痛くなった。次回は7.5bar位に抑えてみたい。
平地での900mTT(失速)
- 平地のダンシングでは、どうもうまくリズムが取れなかった。ダンシングのリズム感は、フロントホイールの剛性感がかなり影響していると思う。
- 下ハンを握り、ややスプリント気味にスピードを乗せるようと試みたものの、なんだかうまくスピードを乗せられず。もはや残りの直線900mをもがき切ろうなどという気が起こりません。
多少のアップダウンを繰り返す平地コースでの巡行
- 速度域は30km/h~32Km/h程度。登り返しでは、明らかにBoraの方がトルクに反応してくれるため速度維持がしやすいです。ただし、次第に足を削られていく感じがします。
35km/h超での平地巡行
- 堤防道路にて、シッティングで38kmh位までスピードを乗せていった。この速度域での巡行は、BlackEdition38と、それほど変わらないような気がした。
- ただし、フロントからは少し風切り音を感じた。(Zondaでは結構盛大に風切り音がしていた。)BlackEdition38では、こうした経験は無い。設計が新しく超ワイドリムで、実は空力面では多少有利なのでは?という気がした。
ヒルクライム
- Boraは良く進んでくれる。リム剛性が高い感じがするけれど、ペダル上死点を慣性力で超えていけるような感じはしない。ローギアが25Tだったため、もう1枚軽いギアで丁寧に回してみたい気持ちになった。
- これまでBlackEdition38で登っていて、どこかリアホイールが重ったるく感じていた理由については、自分自身のパワー不足とペダリングの下手さが全ての原因だろう、と思っていたけれど、それだけではなくホイールの特性も理由の一つだったことがはっきり分かった。(この気づきを得るために、ホイールに投資したようなもの。)
ヒルクライム後の下りブレーキング
- カンパ純正ブレーキシューを装着し、非AC3加工です。それでもBlackEdition38より自然なフィーリングです。ブレーキーレバーをより深く握ることで制動力が立ち上がってきます。
下り巡行
- ハブの回転はさすがに良く、フリーの抵抗も少ないのか、スーっと速度が上がっていきます。
まとめ
- 今日は気温が4度まで下がり、カラダの動きが硬かった。そもそも平日の疲れも残ったまま、乗れる時間も2時間程度しかない中ではあった。言い訳ではないが(否、多分に言い訳を含んでいるのだが)、Boraの初ライドは、うまく適応できないまま終わった。
- BlackEdition38というのは、程よい剛性感があり、おそらく誰にでも乗りやすいホイールかと。必ずしも剛性感はヒルクライムやレース向きではないが、ソロのロングライドでもアシが売り切れにくい。ほど良いディープリムで巡航速度域でもBora ONE 35とも大きくは違わない。それなのに価格は半分以下。レースでなければ、これで十分かと。
- Bora ONE 35の方は、剛性だけでなく反応の早さも、確実に上である。BlackEdition38に慣れた乗り方とは、ペダリングのリズム感がやや異なり、多少だがバイクがふらつき易く感じた。乗り手にもスキルや足が求められるように思う。これにフィジカルが順応して、レースやヒルクライムのタイムアタックするなら、どう考えてもBora ONE 35は素晴らしいだろう。
- しばらくはBoraのようなレース向けホイールに順応できるようチャレンジしてみよう。
久しぶりにZONDA(C15)に乗った感想
- 今回も、後輪のみ交換してのインプレッションです。前後同時に交換してしまうと、前後ホイールの特性が混ざってしまい分かり難いですが、リアホイールだけ交換することで特性の違いを際立たせることができます。G3スポーキングは相変わらず単純にカッコ良いですね。ハブの回転は非常にスムーズ、さすがカンパニョーロの作りの良さを感じます。
久しぶりに乗ったZondaホイール(C15)の印象
以前に所有していたZonda C15なのですが、現在の所有者から借りることができたので、久しぶりの再会です。私のフレームも変わっており、当時とは、どのように印象が変わったでしょうか。比較対象は、いつもの「例のホイール」です。「例のホイール」は、過去記事にもある通り数世代前の手組ホイールです。古いモデルですが、しっかりと組まれており、お気に入りに成りかけています。
ナローリムなのですが、やはりリムはやや重めです。また、ホイール剛性はさほど高いわけではなく、ひと踏み毎のパワー伝達は柔らかめ。特に気になったのはダンシングでパワーを掛けた時、ホイール(特にリム自身)が、ペダルの感覚とは別に、(リムが独自に)進みたい方向に進もうとするように感じます。このあたりが、ライダーの意思とはタイムラグがあると表現されやすい部分かもしれませんね。
- 30km/h前後での巡行は可能ですが、33km/hを越えあたりからは、重さを感じて常に踏んでいないと速度を維持し難くなります。
Zondaに合った乗り方に気が付いた
- Zondaは、船に例えるなら優雅なクルーザーかと思います。乗り手の勢いにホイールの挙動を合わせようとするほど疲れてしまう。あくまでZondaの挙動に、乗り手が合わせるようにつもりでいる方が、うまく進んでくれます。
- 適切な速度域では、リムが慣性力で回り続けようとするチカラは強めに働きます。低速から速度を上げていくには、急がずペダリングしながら少しづつ速度を載せていく方が良い。
登りでも、ダンシングで大きなトルクを掛けるよりも、シッティングのままクルクル回すか、クランク全周にトルクを掛け続ける方が進む。
Zondaから「急がずに行こう」と語りかけられているようで、ちょっとDOGMAのキャラクターとは方向性が違いますね。このフレームだとリズム感の良い反発があり、むしろ積極的に踏んでいきたい気持ちにさせる方向性ですので。これほどフレームとホイールがマッチしていない、どっちつかずでもったいないな、と思います。
- 私自身もロ-ドを復活して2年目くらいでメインに使っていたのがZondaでした。ただ、この安定感あるホイールだけに慣れてしまうと、シッティングに頼った乗り方に順応しがちと思います。ダンシングやペダリング向上の練習には、他のホイールも使ってみることを是非お勧めしたくなりますね。
今のところ、DOGMAに合わせる手持ちの最良ホイールは・・・
- DOGMAに合わせる手持ちの最良ホイールは、中古で入手した数世代前の手組ホイールということになってしまっています。思い込みでなく、実際にタイムにも表れていますので。ナローリム&23Cタイヤは軽快です。コストが掛からずラッキーと考えられなくもないけれど。
Prime BlackEdition 38ホイールのカートリッジベアリングの選び方について
- ホイールのカートリッジベアリングの選び方について、自分なりに調べてみたことを書いています。
Prime BlackEdition 38 ハブベアリングの仕様
ハブ: R010、CNC 加工済み 7075 アロイハブボディ
ハブベアリング: フロント: 2x 699、リア: 1x 15267 & 1x 6802、フリーハブ: 2x 15267
リアハブベアリング: コード: 15267-2RS & 6802-2RS
ベアリング | 寸法 | 数量 | 代替品の例 |
---|---|---|---|
699-2RS | 内径9 x 外径20 x 幅6mm | 2 | ・中華ベアリング(Amazon, AliExpress) ・NSK SS699DD (両側接触シール形) [セラミック] ・Ceramic Speed 619/9 (699) Standard |
ベアリング | 寸法 | 数量 | 代替品の例 |
---|---|---|---|
15267-2RS | 内径15 x 外径26 x 幅7mm | 1 (Hub) 2(FreeBody) |
・中華ベアリング(Amazon, AliExpress) ・日本メーカ:見当たらず [セラミック] ・ENDURO ABEC5 MR1526LLB A5 ・ Ceramic Speed 15267 (Standard / Coated) |
6802-2RS | 内径15 x 外径24 x 幅5mm | 1 (Hub) | ・中華ベアリング(Amazon, AliExpress) ・NTN 6802LLB (両側非接触ゴムシール形) [セラミック] ・ENDURO ABEC5 61802LLB ・Ceramic Speed 61802 (6802) (Standard / Coated) |
ベアリングの購入について
Prime RP-38 リアホイールに使用されているベアリングサイズ 15267-2RS(15x26x7mm)は、国内メーカでは見あたりませんでした。AliExpressやAmazonではいくつか見つかりました。
今回は、Amazonから中国製のセラミックベアリングのものを購入しました。後になって、ベアリングベアリングの名前に含まれる仕様について調べ直してみました。購入時にはベアリング球の材質やシール方法が気になった。
- 実際のロードバイクの運用時にはグリース詰め量が回転抵抗の多くを占めるように思います。これは頻繁にメンテナンスできるかどうかにもよります。ただ、メンテナンスを行っていたとしても、所詮は数千km程度の寿命です。
- 寿命を迎えたベアリングは交換するしか方法がありません。ただし交換さえしてしまえば、ほぼ新品の性能にもどる筈なので、合理的といえるかもしれません。
ベアリングの精度等級の規格について
- ベアリングの精度は、ABEC / ISO 492 / JIS で規格化されています。(ABEC 1 p0等)
- Enduro社のベアリングではABEC 3・5のものがあります。
- 実際には、ABEC規格の数値が高いベアリングが必ずしも自転車用に高性能で長持ちするベアリングを意味するわけではありません。(Enduro Bearings Webサイトより)
- ABECの意味するところは寸法公差(基準値との誤差の許容度)。
(基準値に近い(可能性が高い)→ 精度が良い個体である確率が、より高い) 例えば、航空宇宙・医療・原子力等の高度な信頼性が求められるような分野を指しています。
ABEC ISO 492 DIN 620 JIS B1514 振れ精度 備考 ABEC 1 normal
class 6XP0 0級 0.0100mm 普通レベル ABEC 3 class 6 P6 6級 0.0060mm ※Enduro Bearings ABEC 5 class 5 P5 5級 0.0040mm ※Enduro Bearings ABEC 7 class 4 P4 4級 0.0025mm ABEC 9 class 2 P2 2級 0.0015mm より精密 https://en.wikipedia.org/wiki/ABEC_scale
- ABEC : American Bearing Manufactures Association(米国)
- DIN: Deutsches Institut für Normung (独国 the German Institute for Standardisation)
回転性能へのこだわり
- セラミック球は硬度が高いため、レース側にも対策がされていなければ、性能を発揮できません。
Enduro ベアリングの場合
Enduro Bearingsでは、マグネタイト処理を行うことでレース側の耐久性を上げています。
CelamicSpeed ベアリングの場合
セラミックスピード・ベアリングの寿命を向上させる独自のコーティングが施されています。レースの硬度が上がり、セラミックスピードボールの滑らかさと相まって、ベアリングの摩耗がほとんど無くなりました。
The Coated Advantage | Ultimate Gains in Performance and Longevity
セラミック球を謳う安価なベアリングの場合
- セラミック球を謳う製品で安価なものは沢山ありますが、硬度の高いセラミック球を受け止めているレース側が負けてしまうため、むしろ性能劣化が早く、ベアリング寿命は短めになるようです。
(私が入手したのも、こうしたモノの一つです。)
(番外編)カップ&コーン式ハブにセラミック球をインストール
ハブベアリングでは、こだわりを持ってベアリング球を探し求める方もいらっしゃるようです。
有限会社舟辺精工 自転車&バイク用のスチールボール
シール性
- シールには、外的要因からベアリング内部を守り、グリースが流れ去ることを止める働きがあります。
- 2RSは、両サイドに接触型シール付きという意味です。
- シールが強ければベアリング寿命には有利な反面、回転抵抗は増加してしまう関係にあります。
内部すきま(C-N clearance)
軸受の内部すきま | ベアリングの基礎知識 | ベアリングのKoyo(ジェイテクト)
- どのベアリングにも、必ず僅かな内部すきまが設けられています。自転車用の場合、CN(標準)がほとんどかと思いますので、意識されていないか、製品表記からも省略されている場合が多いように思います。
- 一般的に、 CN(標準)として、C1・2(より小さくなる)、C3・4・5(より大きくなる)のように表記されます。
C1<C2<CM<CN(標準)<C3<C4 - ベアリングの内側の輪が垂直方向に動く(ズレる)場合をラジアル内部すきまといい、軸方向(横方向)に動かした場合をアキシアル内部すきまといいます。ラジアル側のズレ量が大きいものは、必然的にアキシアル側も大きくなる関係になります。
- 内部すきま自体は、ベアリング性能の一つです。例えば、適切な内部すきまならばベアリング寿命を延ばすことに繋がります。また、斜め方向に掛かる加重を許容しやすい設計ということでもあるため、加重方向が複雑に変化するホイールベアリングには有用と考えられます。
MAVICホイール(Ksyrium S, COSMIC SLR 40)には、内部すきまC3のカートリッジベアリングが採用されています(※QRMオート:プリロード自動調整)。
[MAVIC テクニカルマニュアル]
https://technicalmanual.mavic.com/tech-mavic/technical_manual/data/mavic_tech.php
グリースの充填量
- ベアリング装着前であれば、シールを外してグリスを詰め替えることが容易です。グリース充填量は、一般には空間容積の1/3~1/2程度で良いとされています。
- グリース充填量が多すぎると、かくはんにより発熱し、グリースの変質・劣化・軟化をもたらすため注意が必要とされます。しかし、自転車の場合は、回転数が低いため熱については無視して問題ないです。グリースを入れすぎることによって回転抵抗が増加してしまう方がよっぽど問題です。
- 補給する前に古いグリースをしっかり洗い流すこと、補充時には新しいグリースが確実に軸受内部に入るようにすることが大切です。
NTN製ベアリングの主要寸法と呼び番号
- 以上について、NTNの製品では下表のとおりです。
Prime BlackEdition 38 カーボン フロントホイールのベアリング交換
* 数千キロ走って、ベアリングの回転が渋くなってきたため、ベアリング交換することにしました。新しいベアリングは、Amazonで購入した「uxcell 699-2RS深溝玉軸受 9mm x 20mm x 6mm ダブルシール」です。中国から2週間で送られてきました。このベアリングに特段の性能までは期待していません。初めてのベアリング交換作業で失敗する可能性があること、まずは試してみて性能に納得できなかったり、たとえ寿命が短くとも、また交換すれば良いだけなので。
* なお、当作業ではTAKAO HIYAMAさんのWebサイトを参考にさせていただきました。今回の作業で使用した工具の一部は、紹介されていた通りのものをホームセンターで調達しています。
* Prime BlackEdition 38 フロントホイール軸穴はQR軸の外径より多少太い程度なので、ベアリング圧入用に使えそうな「軸モノ」を探していたところ、たまたまクロスバイク用に使用してた、BBB社の六角レンチタイプのスキュアー(BBB BQR-03 WHELFIXED ホイールフィックス)が使用できそうです。六角レンチで締めこむことができるので、ベアリング圧入時のトルクを掛けるのにちょうど良いです。ただ難点として、両端のねじ切り部分が短いため、うまくスペーサをかましてあげる必要があります。
* RP-38のリアホイール側はホイール軸が太いため、このスキュアーを使う必要はありません。M8x150mmボルトが使えます。
* まず、古いベアリングをハンマーで叩き出します。何度か叩きましたが、とても硬くて全くベアリングが動きませんでした。YoutubeのPrimeチャンネルでは、ベアリングの外し方の動画がアップロードされています。動画どおりに叩いても動かないということは、何かコツがあるはずです。
* まっすぐに叩いているつもりが、正確ではなかったようです。ベアリングが抜けるよう正しく垂直方向に叩くことが必要です。
* 少しでもベアリングが動いた感触を得られれば、すぐに外れてくれました。
* ※ちなみに、リアホイール側も後日に作業しましたが、ここまでの外し難さはありませんでした。このフロントハブ特有かもしれませんが、新しいベアリングを圧入する際にも、叩き入れるという方法では全く通用しませんでした。
[YouTube - Bearing Replacement - Prime BlackEdition Front Wheel]
* 取り外したベアリングのシール部分にはNTNと表記があります。Wiggleサイトに記載されている通りですが、ちゃんと日本製ベアリングが入っていました。
* 新しいベアリングが収まる位置に、グリスを塗っておきました。次回の交換時には少しでも楽になるように願いながら。
* 圧入するには、古いベアリングを重ねます。
* BBBのスキュアーを圧入工具にしますが、スペーサとしてワッシャー・ソケットを挟みます。
* スキュアーを締めこんでベアリングを圧入していきます。締め込む際のトルクはさほど高くなく、スムーズに入っていきます。ただ初めての作業だったため、ゆっくりと、抵抗を感じたら圧入工具を外して確認しながら慎重に行いました。
* ベアリングが奥まっているため、ソケットレンチを挟んで圧入しました。本来はベアリング外径と同じ径のワッシャーがあると良かったと思います。ソケットレンチが若干シール部分に重なった状態で締めこんだので、好ましくありませんね。
反対側も同じようにして圧入しました。
* 完成後のハブの回転は、明らかに交換前よりスムーズになりました。こちらが元の性能に近いはずです。
前輪と後輪で、ホイールに求める要素(剛性・慣性力・空力)をどのように考えるか?
- フロントホイールとリアホイールで、ホイールに求める要素(剛性・慣性力・空力)をどのように考えるか、ここまでの自分なりの考察です。あくまで一般論として自分なりに整理した内容です。
フロントホイールについて
- 強く影響するには、スポーク本数と強度(太さ)。そしてリム材質それからリムハイト(高さ)。
- フロントホイールの剛性が高ければ、ダンシング時に安定感が高まる、コーナリング時のコントロール性が高まる。
- ただし剛性が高すぎると、ネガティブ面も目立ってしまう。ラジアル組みでリアホイールと同じスポーク本数だと、過剛性すぎるかもしれない。
- 空力(空気抜けの良さ)という要素は、バイクの最初に空気がぶち当たることになるので、リアホイールよりもかなり重要度が高い。
- 高速巡行のためにホイール慣性力をフロントホイールにも期待しようとしても、リアホイールにトルクを掛けて後ろから押す必要があることになるので、あえてフロントホイールに求めなくても良い。
- 総じて、快適性を含めて考えると、フロントホイールに求められる剛性・空力・重さのバランスというのは、とてもシビアということになる。
リアホイールについて
- 剛性が高い方が、パワー伝達が良くなる。剛性不足のリアホイールでは、せっかく乗り手が頑張ってもバイクが前に進んでくれない。これは平地でも登りでも同じ印象。
- フロントホイールに比べると、役割がはっきりしているからか、考えるべき優先順位ははっきりしているように思う。
- 各要素を考える際に重視した方が良い優先順位は、以下のように思う。
ホイール剛性の高さ(パワー伝達の良さ) > ホイールの慣性力(リムハイト・重さ) > 空力(リムハイト)
ホイール素材と乗り方
- アルミリムの剛性感は、ダンシングのズムーズさ、ヒルクライムの楽さが心地よい。こうした場面では、やっぱり高剛性のアルミホイールが有利であろう。一方、カーボンリムは、そもそも素材の特性として多少のたわみがある。比べるならカーボンホイール同士でないとフェアではない。シッティングでズムーズにペダリングするような乗り方の方が合う。
クリンチャーとチューブラー
- クリンチャーは、25cになってエアボリュームが増え乗り心地が改善、接地面積が減少したことで抵抗の減少につながっている。ワイドリム化というのは正常進化である。ただし、リム内幅によって、取り付け時の実測幅が変化してしまう。
- チューブラーの乗り心地、コーナーの安定性の高さは、現代でもクリンチャーより有利。スペアタイヤの荷物のカサはやや増えてしまうが、ロングライドならチューブラーの方が疲れ難い。ただしタイムアタックのように、実際の速さという面では、最新のクリンチャータイヤに比べると、やや不利となる場合もある。
- チューブレス(レディ)は、クリンチャーからチューブを取り払うことができるため、単純にエアボリュームが増加する。そのため乗り心地・抵抗ともに有利である。エアボリュームがあれば空気圧を下げられる→振動吸収性が上る→縦振動が減りスムーズに進むことができる。
前輪も手組ホイールに変えてみた
前輪も手組ホイールに変えてみた印象です。
- 25km/h前後では、Prime RP-38(シールドベアリング)よりも、Duraハブの回転のスムーズさが心地よい。よく転がってくれる。
- ダンシングでは、明らかにホイール剛性が高いことが分かる。ペダリングの振り返しの瞬間のシャッキリ感が強くなりリズムを掴みやすい。結果としてトップスピードが伸びやすくなる。
- コーナリングの安定感が高くなり、バイクを倒しやすい。バイクが気持ちよく曲がってくれるようになる。
- 荒れた路面や段差での衝撃は明らかに強くなった。
35km/h前後まで加速し巡行に移った時の印象
- 900mの直線道路を往復して、スプリント気味に加速し巡行に移った時の印象。同じ道路を往復しているため、やや微風であったことが違いを感じる結果となった。
リム高さが低くなったこと・スポークが空気をかき回す抵抗が強くなったためでないかと思う。
- 追い風ならば、Prime RP-38前輪の時との違いをあまり感じない。
- 逆に向かい風の時、巡行に移った瞬間から抵抗を感じる。重めにペダリングが踏んでいないと速度維持が難しく、途中で踏むのをやめてしまった。
前輪については、剛性が高くなることは、以下のメガポジがあるように思う。
手組みホイールでヒルクライム
- 例の手組ホイールで、いくつかのコースを走っています。レーパン&ジャージに着替える気合いまでなく、短パン&ポロシャツでライドしてきました。
- もう15時30分で、この時期は日没がだいぶん早くなってきました。ヘッドライトもなし。だけど走り始めると、やっぱりローディの性が出てきて、今日はヒルクライムを試したい気分に。そこで、さっと登って降りてこられる二坂坂(平均勾配8%、 MAX11%、2.7km)へ。
- 登りでもDOGMAのペダリングのスムーズさを感じます。ペダリングの上死点下死点を勢いで通過できています。これはフレームのリズム感に足が慣れてきこともあると思いますが。例の手組ホイールの方は、時速11km/hであっても回り続けようとするため、ペダリングのスムーズさにつながっています。
- パッド無しのため、斜度が上がりサドルに前乗り気味になるほど、先端がダイレクトに・・・。
それでも今日は乗れている」感のまま気持ち良く、これまでの自己ベストを40秒短縮!につながりました。
このシチュエーションに合いそうな今どきのホイール、・・・ なるほど、レーゼロシリーズですね。
やはりホイールは重さだけでは語れないな
例の数世代前の手組ホイールと現代のカーボンホイールを乗り比べた結果、思ったことを書きます。
- カーボンというだけでは、ホイール全体の性能が大幅アップとは限らない。
- しっかり組まれた手組ホイールは、なかなか良い。
Prime RP-38 BlackEdition チューブラー 2018モデルは、リム高さ38mm カタログスペックでは前後ペア1,283g。10万円以下で購入できる中では最軽量の部類ではないでしょうか。元々は伊吹山HCで少しでも楽をしたくて購入したものです。自分自身はこのホイールに2シーズン乗り込んでいます。足当たりが軽く、ポジションさえ決まれば足の重さだけでスッと前に進むのでロングライドにも有利です。とにかく軽いので、35km/hに上げるのも楽です。
- その代わり、高速巡行では、回し続けないといけない感じがする。パワーを掛けるヒルクライムでは、あまり剛性感を感じません。ヒルクライムでの軽さを期待して購入したにもかかわらず、なんだか前に進みにくい印象が拭えない感じがします。
- 自分の場合は、優秀なフレームに乗り換えたことで全体のレベルが上がってしまい、目に付きやすくなってしまったという訳です。同シリーズのリムハイト50mmモデルの方は、見た目も良くホイール剛性も有利、1,500g前後に収まる訳ですから、そちらのモデルに人気があるのも頷けます。
- ロードバイクを乗り込んでいくと、なぜこうなのか疑問が生じて、自分自身がただ下手なだけなのか、機材の方が不十分なのか、切り分けが難しい側面があるように思います。新しい機材を入れることで解決する方法もありますが、自分であれこれ探求していくことも、自転車の楽しみ方の一つと思います。フリマ等で中古パーツを入手し易くなり、こうした実験も行いやすくなりました。
ナローリムの手組ホイールで走ってみた印象
- DOGMAに乗り換えたことでフレームの素性が非常に良くなり、残っているネガティブ要因について余計に考えてしまうようになりました。平地でも登りでも、どうもホイール側でチカラに逃げている感がある。以前のフレームでは、どこに問題があるのか不明瞭で、まずはフレーム交換。それでも感じる場合は、おそらくホイールの剛性不足だろう、と思い至りました。
それが本当かどうか、お金をかけずにどのように試そうか考えていたところ、手元に例のホイールがあることを思い出しました。数世代前のアルミリムのホイールです。
なお、手元にあるホイールは以下の通りです。
- 数世代前の手組みアルミホイール (例のホイール) 前後セット1,600g代
- Prime RP-38 BlackEdition カーボンチューブラーホイール 前後セット1,283g
- Prime Baroudeur SE ロードホイール リアのみ 855g
例のホイールは、ナローリムであることなど数世代前のフォーマットなので、まさかカーボンホイールと比較しようなどという発想はこれまで浮かびませんでした。ひょっとしたら、堤防道路で35km/hを超える場面ならば、剛性の高そうな「例のホイール」に変えてみることで、「何か分かる事があるかもしれない」と考えて、試してみることに。Primeアルミホイール の方は、あまりに「普通」なので、比較候補になりません。
- この発想にはちゃんと根拠があります。甥が使っているMAVIC COSMIC(リムハイトは50mmか60mmか忘れました)は重い筈なのに、惰性で回り続けるため平地巡行が楽だと言うのです。古いモデルでナローリム、剛性はかなり高いホイールです。同じような効果は「例のホイール」でも得られるでしょうか?
ブレーキシューの交換が面倒だったため、リアだけ交換しました。ペダリングのパワーを推進力に変換するリアホイールには剛性が必要ですが、一番最初に気流がぶち当たるフロントホイールではハイトリムの方が効果的だろう、との言い訳想定です。
インプレッション
- 停止状態からの踏み出しは、さすがに重くなった。しかしペダリングを止めても惰性でスーと進んでいく。明らかにホイール全体の剛性感は高くなっているのが分かる。25km/hまでの加速では、重いものを転がしている感がある。軽いホイールでは慣性力が弱いためペダリングを止めると微妙に減速していくが、その感覚に慣れていたからか「後ろから押されている」感じすらする。(そういえば、この感触どこか懐かしい。)
- 30km/h前後での巡行は、やや速度維持が楽になったように感じる。要は素早く加速させようとするほど重さを感じることになるので、ゆっくりと加速させてゆく乗り方がマッチする。
- あいにく霧雨となり路面が濡れ始めたので、練習コース中のスプリント区間の手前で折り返すことにした。(このままスプリントしても見事にコケてしまう可能性が高い。)
- いよいよ揖斐川の左岸堤防の区間。・・・ ペダリング中のだるさが少なく、そのためか速度への反応が良い。普段40km/h前後出る区間では、その通りの速度に至っている。踏み心地・疲れ方としては、多少楽に感じている自分がいた。見た目には全然エアロでないリアホイールなので、これが
ただの勘違いプラシーボ効果である筈はない。ということは、リアホイールの場合、たとえリム高さが38mmから18mmになっても(大幅にエアロ効果が低下)、パワーを伝えるホイール剛性の変化に加え、外周部の重さが回り続ける慣性力に効いているのではないだろうか。 - 数世代前の手組ホイールながら、しっかり組まれており、速度という結果に対してカーボンホイールと殆ど差が出なかったという結果には驚いた。もちろん手組みらしく乗り心地も良いです。平地メインのビワイチ等のロングライドや、木曽三川公園往復で使ってみたいと思う程です。
- ということで、数世代前のホイールのフォーマットにもかかわらず、ちゃんと結果にコミットできています。見た目は、極太フレームに対してあまりに細く見えます。
ブレーキシューを交換するのが面倒くさいのでもうしばらく実験を続けます。次はフロントも変えてみようかな。重さのネガが目立つ結果となるかどうか楽しみ。
少し昔のナローリムの手組みホイールを眺めてみた
ホイールは軽さだけでは語れない奥深き世界(1)
- 少し前のことですが、ある手組ホイールをフリマサイトで入手しました。明らかにこだわりを持って組まれているオーラを発しており、ほとんど衝動的にGETしたものです。ちょうどクロモリロード用のホイールを検討していたタイミングで、細見のナローリムが終息していく世の中、魅力的に映りました。
- アンブロッシオExcelLight(リム高18mm)・デュラエース7900前後HUB(本来は10s)・前後ともPillerエアロスポークで組まれています。今の基準からは重そうに見えるし、実際に手に持ってもそれなりに重さを感じます。この重厚感ならば高速走行時に剛性の高さが活きてくるのでは、と思えてきました。
- さらに、DuraAce7900リアハブのフリーボディが削り込みまれており、シマノ11sカセットスプロケットが入るよう加工されています。そのため11sコンポでも使用可能です。10sの場合は1.85mmのスペーサを入れます。
現代のカーボンホイールと比べると、見た目が全然違います。カーボンホイールの方が間違いなく早そうに見えます。
もともとクロモリロード用と考えていたため、ナローリム&23Cタイヤは本来の目的にマッチしています。DuraAceハブのスムーズな回転には感心します。Primeホイールには無い、しっとりとした回転です。
- AMBROSIO Excellight S.S.C. 28H 430g
- GRANDPRIX 4000 S2 23C
フレームサイズ選びに苦労した話
- FENIXからパーツを移植するにあたり、悩んだことが一つあります。同じライディングポジションとするために、ステム長などをどう決めればよいか、ということです。
- ここでは、ある程度まで自分のポジションを作り上げている方が、次のフレームに乗り換える場合を想定して書いています。
培ったポジションは、あなただけのプライスレスな資産。測れるうちに記録しておいた方が良い。
- これまで乗っていたフレームに合わせて、サドル高さ・前後位置、ステム長・ハンドル高さ等を微調整してきたポジションというのは、残念ながらパーツをばらした瞬間に失われてしまいます。時間をかけて自分自身が微調整しながら培ってきたポジション数値は、実は貴方だけのプライスレスな資産なのですから、簡便にでも記録しておいた方が良いです。(例えば、競輪選手では、あらゆるポジション合わせをミリ単位で調整しながら培ってきたもので、メカニックの方であっても他人が触るとフィーリングが変わってしまうくらいシビアなものだそうです。)
- 実際、フレームが変わればフィーリングが変わり、それに伴って微妙にポジション変更を行うことになるかと思います。
- 元のバイクからポジション数値を測定しておけば、次のフレームに組み込む際にポジション合わせに要する時間や手間を削減できます。また、今手元にあるステム長さが次のフレームで適切かどうか、あらかじめ判断できていれば、余計な出費も節約できます。
- ポジション合わせに時間を要するよりも、楽しくバイクに乗る貴重な時間を有効活用できます。
- 自分自身が培ったポジション数値をエビデンス(証拠)として検証してみて、フレームサイズの選択を間違えないように注意すると良いですね。
どこを計測しておくべきか?
私は、少なくとも以下を計測しておきました。
- (1)クランク軸の中心 ~ サドル上面までの高さ:640mm
- (2)サドルの中心 ~ ステムのハンドル軸の中心
- (3)フロントアクスルの中心 ~ ステムのハンドル軸の中心
例
- 写真のバイクはトップチューブが水平になっている90年頃の典型的なホリゾンタルフレームです。フレームサイズは520mmです。身長165cmでギリギリ乗れていました。うち緑の部分が調整可能な範囲です。
- (1)について計算してみると、640-520=120mmが緑色の長さ(ほぼ、シートポストが出ている長さ)になります。ここがある程度は長く出ている方が格好良いとされていますが、身長に対して大きめフレームなため、あまり出ていません。また、信号待ちなどで両足を付いた際に、股間がトップチューブにギリギリあたりそうな感じがします。この高さはスタックオーバーハイトといいます。現在では、やや後ろ下がりになっているスローピング形状が多く、股間をぶつける危険は低くなっていると思います。
- さらに、もし水平器と60cm程度の棒をお持ちなら、サドルとハンドル落差も計測しておくと良いです。(ハンドル上にレゴブロックなどを置き、サドルと並行になったところで、ブロックの高さを測る。)
購入候補のフレームサイズとポジションについてあらかじめ試算
- フレームサイズの候補として、シートチューブ長460mm~520mmが許容範囲と分かっているので、その中から自分に合うサイズがどれか見極めていきます。
- そのために、購入候補のフレームのジオメトリを詳しく調べてみましょう。
- 先に計測した(1)~(3)の数値と見比べてみます。
- ちなみに、カタログやジオメトリ表に書かれているモデル毎のサイズ表記(M,S,XSなど)には、何かの基準である訳でないため、あまり参考にはなりません。特に小さいフレームサイズを選ぼうとしている方にとっては要注意です。
- XSサイズとSサイズで、フロントセンター等の数値が逆転してしまっているモデルもある。
- そのため、小さいフレームサイズでは、迷ったら小さめを選ぶ方が無難という一般論が当てはまらない。
- まっとうなItalia車であるDOGMA K8-Sの場合でも、REACHやフロントセンターの数値がサイズ間で均等には変化していない。
*(1)からは、シートポストの出代が、どの程度なのか予想することができます。
640mm - 465mm = 175mm ※シートレールとサドル座面の距離を含みます
(2)からは、もし現在のポジションに不満がないなら、カタログのジオメトリ表をみて、REACHの数値の差を見比べてください。もし差の数値が増えるようならば、ステム長には+10mmのものを選ぶべきかどうか考慮することができます。
(3)からは、ハンドルの高さの位置を読み取る目安になります。ジオメトリ表のヘッドチューブ長の数値から、差を見比べてください。ヘッドチューブ長は、フレームによってかなり差があるので、そもそも目的に似合ったポジション合わせが無理無くできそうか、また、コラムスペーサの枚数がどの程度になりそうなのか判断しましょう。(中古フレームを検討している場合で、コラムカットされてしまっている場合、自分のポジションに合わせられるかどうか分かれ道になる場合があります。もし前オーナーに身長や使っていたステム長を聞けそうなら、聞いてみる方が良いでしょう。自分に置き換えて考える際にとても参考になります。)
さらにDOGMA K8-Sの2017年モデルの場合は、シートポスト上部が弓形になっており、その分は調整可能な長さから差し引いて考えなければなりません。REACHとSTACKも考慮した結果、今回は465Sがジャストサイズと判断しました。(こうしたことを、フレーム購入前に見極めておかないといけません。なかなか大変ですね。)
- 実際には、さらにLOOK 785 Huez RS(S), RIDLEY HELIUM X(XS)新車も候補でしたので、同じように比較していました。
実際にポジション調整してみた結果
465Sサイズで大正解でした。
- シートポスト:調整可能な下限から僅か3cm上でした。
- ステム長:90mm→100mmでピッタリでした。
以前のフレームとの比較
リアセンター長:42.0 ※一般的には40.5~41.0位のモデルが多い。FENIX XXSサイズでは40.5 ※k8-sは長め
ヘッドチューブ長:12.0 ※FENIX XXSサイズでは11.0 ※私の場合には、短かすぎた。
フォークオフセット:47 ※FENIX XXSサイズでは43 ※k8-sは長め
フロントセンター:58.1 ※FENIX XXSサイズでは58.0 ※ここには差がない
サスペンションの調整方法
サスペンションの稼働域
- サスペンションのトラベル量(稼働幅:mm)は、サスペンションに付いている黒いゴムリングが、どれだけ移動したかを、ライド後に目視して確認します。
DOGMA K8-Sのサスペンション調整について
公式Youtube動画を視聴しながら耳コピで翻訳したところ、以下のように述べているようです。
サスペンションのプリロード調整方法
- Oリングを下端まで下げる。
- ライダーがバイクにまたがり、ライディングポジションを取ってから降りる。
- Oリングが移動した幅をノギスで計測する。
- 移動幅の基準値は2mm。差異に合わせてプリロードを調整する。
- フレームサイズ40-46.5では、調整リングの回転数は最大2回転までに抑えること。
- フレームサイズ50-59.5では、調整リングの回転数は最大3回転までに抑えること。
サスペンションユニットのフレームへの据え付け
- いずれも、ネジロック剤を塗布すること。
- シートチューブ側の固定ネジ締付トルクは4nm。
- リアバック側の固定ネジ締付トルクは10nm。
ファーストインプレッション時の主な仕様
フレームセット
- K8-S (465Sサイズ)
- 純正シートポスト付属
- MOST ALU ステム100mm
コンポーネント
RIDLEY FENIX からパーツ類を載せ替え。
- Prime BlackEdition RP-38 カーボンホイール
- Continental Sprinter 25C チューブラー
- WCS CARBON EVO CURVE カーボンハンドル 380mm
- SellaSMP HELL サドル
- 9000 DuraAce 167.5mm クランク
- ROTOR 50-36T 楕円ギア
- Bontrager Speed Stop ダイレクトマウントブレーキ(リアのみ)
- SHIMANO ALTEGRA 6800 / R8000 MIX
組み上がり時の重量
お待ちかねの重量測定結果です。
- 組み上がり時の重量は、7.4kgでした。サスペンション機構の重量は95gと公称されていますので、サス無しで考えると7.3kgとなり、満足な数値です。
- HELLサドルの重量は280gで、特に軽量な訳ではなく、まだ軽量化の余地はあると思います。サドル沼に逆戻りしたくないので、あまり変えたくありません。
運用時にエアロ効果を犠牲にしないように
せっかくのエアロフレームの効果を低減させないために、小物の持ち方を工夫した方が良さそうです。
- ロングライド以外ではボトルゲージはダウンチューブ側のみ。(ボトル装着はPinallero社の空力実験でも前提条件として考慮されています。)シートチューブへのボトル装着は、明らかに空力上は不利に働いてしまう。
- 携帯ポンプは外付けせず、サドルバックに収納する。
気を使った方が良さそうなこと
- ダウンチューブの中間あたりを指で押してみると、僅かに凹むような感触がある位、チューブが薄いと思われる。車載での運搬時には気を使いそう。